OKRとは?MBOやKPI・GKAとのちがいも徹底解説

by | Nov 9, 2020 | Evaluation , GKA, MBO , OKR | 0 comments

目標管理や評価システムとして多くの企業で導入されている「OKR」だが、実際に運用をはじめる前に知っておきたいことがある。

基礎知識はもちろん「どのような点にメリットがあるのか」「どのように取り入れるべきなのか」は把握しておきたい。

この記事では、OKRの基礎知識やメリット、運用方法に加え、MBOやKPIとの違いについても紹介する。

また、OKRを進化させた「GKA」という手法についても紹介しているので、合わせて確認していただきたい。

OKRとは

OKRとは、そもそもどのようなものなのだろうか。ここからは、OKRの基礎知識やOKRが注目される理由について紹介する。

OKRの基礎知識

OKRとは、Objectives(目標) and Key Results(主要な成果)の略で、目標設定や管理方法のひとつだ。

シリコンバレーの有名企業が取り入れたことがきっかけで、近年日本国内の企業でも注目されている。

OKRでは、まず会社全体で目標を設定し、部署やチーム、個人の目標へと細分化する。

設定した目標を従業員それぞれが達成することで、チームや部署目標、さらに会社としての目標を達成しようとする仕組みだ。

目標は、容易に達成できないようなレベルのものを設定する。

成功とみなされるのは達成率60~70%程度のときで、100%達成してしまうのは目標設定が適切にできていないという判断になるだろう。

単純に目標を設定して終わるのではなく、追跡や再評価、再設定を柔軟に行うことで一定のペースで確実に計画を進めることができる。

会社が目指す方向性と従業員の目標を一致させ、社員一丸となって同じ目標に向かって行動しようという指針にもなる。

OKRが注目される理由

OKRが注目される背景には、グローバル化が進んだ影響がある。

海外のような業績やプロセスを重視した公平な業績評価が求められており、日本でも必要とされていることが理由のひとつだろう。

OKRは業績評価手段としても活用できるため、目標管理と評価制度を結びつける形での運用も可能だ。

上述のような理由を背景にOKRが注目され、導入する企業が増加傾向にあると考えられる。

OKRのメリット

OKRを導入することによって、企業にはどのようなメリットがあるのだろうか。ここからは、OKRによって得られるメリットについて見ていこう。

目標設定

OKRでは、達成可能な目標設定を行うことはない。そのため、大胆な目標設定が可能になり、従業員の高いパフォーマンスを引き出すことができる。

また、目標を分析して主要な成果を定めるため、目標設定にかける時間・サイクルが短縮できるメリットもある。

従業員それぞれが、目標へのアプローチ方法を具体的な行動に落とし込むことができるため、周囲に目標を明確に伝えられるのも特徴だ。

従業員エンゲージメント向上

会社の目標達成に向けて従業員間で共有した目標に対し、全員で取り組むことができるのもOKRならではのメリットである。

共有できていればお互いにアイデアを出し合いサポートし合うことも可能なため、従業員の意欲が湧いてくる。

OKRを運用しているうちに「ほかのメンバーの役に立っている」「自分の働きが求められている」という実感も得られるだろう。

結果的に、従業員が所属しているチームや会社に対するエンゲージメントを向上させることにも役立つかたちだ。

生産性の向上

OKRを評価制度と結び付けていれば、自分の成果を公平に評価してもらえるためモチベーションアップにつながる利点もある。

目標を追って日々の業務を行うため、やるべきことが明確になるからだ。また、目標達成に向けて従業員同士の結束力が高まることから、連携を生み出すこともできるだろう。
さらに、タスクの優先順位も判断しやすい

そのため、行動へ移すまでの時間が短縮されて生産性の向上にもつながるなど、会社全体の利益向上にも影響してくるだろう。

OKRの運用方法

OKRのメリットを活かすためには、社内への導入・運用を適切に行う必要があるため、基本的な運用方法について確認しておこう。

具体的には、以下のような流れで運用を行っていく。

1、企業としてOKRを設定・調整
2、チームとしてOKRの設定・調整
3、個人としてOKRの設定・調整
OKRの設定を行う際のポイントは、個人の設定をもとに企業設定を行うのではなく「企業の目標を個人レベルに細分化すること」だ。

この順序が重要になるため、まずは企業の目標設定を明確に従業員へ周知する必要がある。

4、進捗確認(チェックインミーティング)
OKRの運用は、目標設定を行って終わりではない。1週間に1度程度はタスクの優先順位や阻害要因、改善点などをミーティングで話し合いKRにコミットさせる必要がある。

状況に合わせて1on1ミーティングなども行い、従業員一人ひとりの達成状況を把握しておくことも重要だ。

5、中間レビュー(ウィン(win)セッション)
目標へ向けて行う業務が「作業」になってしまうのは避けたい。そのためには、中間レビューを1週間単位、目標達成期日までの中間などに設定して行う必要がある。

中間レビューでは、どんな些細なことでも成果や達成したことをメンバーで共有して称え合う。

OKRを成功させるには小さな成果の積み重ねが必要になるため、従業員のモチベーションを長く維持するためにも中間レビューは重要だ。

6、最終レビュー
最終レビューでは全体ミーティングを行い、成果に対する評価をする。明確な成果設定をしているため、評価にかかる時間も短縮可能だ。

基本的な運用は、上述のような流れで行う。またGoalous(ゴーラス)のような目標管理ツールなどを活用すれば、共有や進捗状況の可視化に役立てることができる。

OKRの失敗の原因|成功のためには

OKRを成功させるためには、失敗する原因を把握したうえで対策を講じることが重要だ。

OKRを導入しただけで運用を適切に行っていなければ、失敗するだけでなくOKRの導入に費やしたコストや業務負担が無駄になってしまう恐れがある。

では、失敗を回避するにはどのような点に注意すれば良いのだろうか。ここからは、OKRを成功させるために把握しておきたい、OKRの失敗原因として多い項目や失敗する理由について紹介する。

目標のズレ

OKRは、目標設定が適切に行われていなければ効果を引き出すことができない。目標設定にズレが生じたまま運用していると、はじめはマッチしていたとしてもズレが大きくなり、運用目的が達成できなくなる可能性がある。

特に注意すべきは、100%達成できているような目標設定を行っているケースだ。

OKRでは、目標達成率60~70%程度が望ましいとされている。これは目標を達成するために一番高いモチベーションを引き出せる数値であり、100%達成できてしまう目標は、達成が見えてきたときに失速してしまうためだ。

反対に、達成があまりにも困難な現実的でない目標を設定すると、最初からあきらめてしまってモチベーションが低下する恐れがある。

ポテンシャルを最大限に引き出すためにも、目標設定が適切かを定期的に見直さなければ失敗の原因になるので注意しておきたい。

KRを感覚で設定してしまう

OKRにおいてKR(Key Results)は、具体的な数値をもとにして設定したものでなければならない。

にもかかわらず、KRを具体的な数値ではなく感覚で設定してしまうと、極端に目標が高くなったり低くなったりして、OKRが失敗する原因になるため注意が必要だ。

そのため、KRを設定する際には過去のデータなどを分析したうえで適切な数値設定を行い、運用中に適切かどうかをチェックしながら見直しを行う必要がある。

OKRを直接的に評価や報酬と結びつける

OKRは、目標設定によってモチベーションを引き出すことがキーポイントのひとつであり、人事評価や報酬と直接結びつけるのは失敗をまねく原因になる。

目標を立てるときに評価が低下するのを恐れて、挑戦的な目標ではなく達成可能な目標設定にしてしまうようなケースだ。

これは、特に目標達成率などの成果のみを評価対象としている場合に多く「プロセスが評価されないのであれば達成できる目標にレベルを下げよう」とするためだろう。

保守的な目標設定を行うと、OKRの効果が引き出せずに失敗する要因になるため、評価や報酬に直結しないように評価制度を見直す必要がある。

目的の軽視

OKRにおいて、KRばかり重視してO(Objective)を軽視していると、企業全体の目標から乖離して失敗する恐れがある。

目的と異なる目標設定になれば、企業が目指している方向性に向かうことができなくなってしまうためだ。

Oの設定は、社員のモチベーションを引き出すことができるような「会社が実現したい夢」などを提示すると良い

Oが数値目標になってしまうと、数値の達成ばかりを評価する社内風土になってしまう恐れがあるためだ。

普段の業務中は、自分のKRを重視した働き方になりやすいため、定期的に振り返りを行って目的を意識しながら働けるように見直す必要があるだろう。

MBOやKPIとのちがい

目標の設定や管理、評価を行うものの中に「MBO」「KPI」というものがある。

このMBOやKPIは、OKRとはどのような点が異なるのだろうか。ここからは、MBO・KPIそれぞれの特徴やOKRとの違いについて紹介する。

MBOとの違い

MBOは「Management by Objectives」の略称で「目標による管理」を意味する。

OKRは一般的に月に1回~四半期に一度程度のスパンで評価を行うが、MBOは半年~1年に一度程度と長い期間で行う特徴がある。

測定は組織によって異なるが、中間レビューは基本的にOKRほど頻回ではない。また、目標の共有範囲もOKRとは異なり、社内やチーム全体では行わないことが多い。

MBOで目標を共有するのは直属の上司や人事担当者などで、基本的には各従業員が把握した状態で業務を進めることになる。

また、OKRは目標達成率60~70%で成功と判断するのに対し、MBOは100%が期待水準となるのも大きな相違点だ。

MBOは目標設定によって、どのようなアプローチをし、どれだけの時間をタスクにかけたかを可視化することを目的としている。

可視化することで自身の成果や行動が把握できるため、業務効率化などに活かすことができる。

KPIとの違い

KPIは「Key Performance Indicator」の略称で「重要業績評価指標」を意味する。

最終目標として設定したものの達成率よりも、達成に向けたプロセス・進捗状況の管理に用いられることが多い

KPIでは、中間レビューの時点でどの程度の達成率であれば、最終目標に到達できるのかを目安に計測を行う。

目標を共有する範囲はOKRとMBOの中間のような位置づけで、個人だけでなくチームや部署単位で共有する形が一般的だ。

KPIを運用する場合、基本的に100%達成を成功とみなすため、指標を細分化して進捗状況のチェックを逐一行う。

プロセス・進捗状況の管理が主な目的で、OKRと一緒に導入することでチェックを強化した目標管理を行うこともできる

つまり、KPIが達成できれば組織としての最終目標も自然に達成できる、という進捗指標として活用する方法が適しているといえる。

OKRを進化させたGKA

GKAとは「Goal Key result Action」を省略したもので、OKRの考え方をベースにした目標管理手法だ。

GKAはOKRよりもシンプルで、会社全体としての目標設定は行わないという特徴がある。

会社として示す方向性は、解釈自由度の高い「存在意義(ミッション)」のみなので、従業員の内発性を重要視することができる。

押し付けられることなく自分で決定し、行動するため高いモチベーションを自然に引き出すことが可能だ。

また、GKAでは個人だけのゴールではなく共有して取り組むため、チームで目標達成を目指す「コラボ」も容易になる。

チームメンバーでゴールを共有できるため、それぞれの役割をもち寄って補完し合う関係性を生み、チームワークで達成を目指す仕組みだ。

OKRの考え方をベースにした目標管理手法GKAを取り入れるのであれば、Goalous(ゴーラス)の活用をおすすめしたい。

GoalousはGKAのシステムをSNSに取り入れたサービスで、チームの目標管理はもちろん個人間のやりとりもGoalous上で可能だ。

Goalousで最重要となるOKRを設定して方向性を示せば、従業員同士が目標に向かって何をすべきかを自発的に考えられるようになるだろう

行動を画像付きで全体にアクションすれば、自分以外の仲間が何を行っているのか、どのような成果を挙げたのかが一目でわかる。

口頭で報告し合うよりも、イメージでインタラクティブに進捗状況の把握ができるため、全員に迅速に伝わる利点も。

GKAでは、全員が同じ方向を向いてアクションを起こしている

そのため、「ここはこうしたらどうか」「その課題なら私が手伝える」など、コミュニケーションから新たなアイデアも生まれやすい。

また、Goalousなら、進捗状況や成果が一目でわかるため、人事評価においても適切な評価をスムーズに行える特徴がある。

普段からGoalousで部下とコミュニケーションを取っていれば、評価に対する成果以外の部分についてのフィードバックも容易に可能だ。

自社のチームワーク強化や従業員の内発的な働き方を目指したいのであれば、Goalousを導入してみてはいかがだろうか。

また、OKRやGKAについて詳しく解説している無料セミナーも開催しているので、ぜひ活用して欲しい。

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まとめ

OKRを導入すれば、会社全体の目標を従業員がそれぞれの役割を果たし、同じ方向を向いて業務に取り組むことができる。

しかし、目標設定が高すぎるあまりにどのようなプロセスで目標達成に向けてアプローチすべきか、判断が難しい面もある。

OKRをベースにしたGKAなら、従業員が自ら考え行動する内発的な働き方を浸透させ、チームワークの向上にも役立つ。

また、目標管理を行うのであれば、ツールの導入も考えておきたい。Goalousのような、導入サポートが充実しているツールであれば従業員への浸透もスムーズなので、検討してみてはいかがだろう。

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