ビジョンは抽象的がよいのか、具体的がよいのか

執筆者 | 12月 31, 2020 | ゴール, モチベーション, 経営理念 | コメント0件

「おれ、アレを目指すわ」

これが抽象的ビジョンである。その名も「アレ」である。かのISAO創設者の大川功(1926ー2001)は、「ペンをもってこい」などの意味で、「おぅ」としか言わなかったと聞く。

抽象的世界には高い知性が要求される

抽象的な世界の理解には、知性が必要になる。「おぅ」が何を意味するのか、その時の時代や状況、功の表情や声のトーン、天候・温度などで総合的に判断しなければ正しいリアクションはできない。「さぁ、きょうはランチに中華を食いに行くぞ。外は暑いから近場がいい。ところでお前は近場のうまい中華屋を知っているか」という意味かもしれぬ。

逆に具体的に要求を出した場合は、反応するのに複雑な思考はほとんど不要だ。選択肢は限られる。いわれたままに動けばいい。

この場合において、抽象的な言語を理解するには知性が必要となったことがお分かりだろう。

具体的にすると解釈が一定となる

よくビジネスの世界では「具体的に」という言葉がもてはやされる。なんでも具体的にいわないとわからない人は、コミュニケーションコストのかかる人だなと思うが、しょうがない。「おぅ」で済ませたいこともよくある。そっちの方が相手の主体性を促すことができるとも思う。

(A)なんか甘い果物

(B)通常ウンシュウミカンを指すミカンと呼ばれる甘い柑橘系果物

Bで言語表現された方が圧倒的に解釈が狭まる。つまり多くの人が「あのみかん」を想像できるはずだ。例えば、買い物を誰かに頼んだ時はAで伝えると何を買ってくるかわかったものではない。解釈のズレが激しい。

お分かりのとおり、具体化するスキルが役立つのは、相手に正確に伝える必要がある場面である。

ビジョンは具体的がよいのだろうか

以前に述べているがビジョンというのは、未来を想像するためのイマジネーションである。「将来にありたい姿」とも表現できる。いきなり例を挙げよう。上にあるほど抽象的だと考えて欲しい。

<↑ 抽象的>

いぇい

いい感じの会社になる

日本で最も勢いのある会社になる

年商1兆円の会社になる

月の営業利益100億円の会社になる

A部門のサービスaaaで月の売上1000億円、営業利益100億円の会社になる

<↓ 具体的>

先ほど述べたように、具体的にすればするほど解釈の幅が狭められてしまう。つまり、将来の可能性の幅が狭められたことを意味する。

ビジョンで大切なのは、感情的な昂揚をもたらし、自己のモチベーションを維持する象徴的な言語になるかどうかである。

また、物事の本質というのは、抽象的表現に含まれることが多い。

(A)この事業が本当の意味でしっかり成立して、この会社の将来を担う事業としてみんなから認められることだ

(B)この事業の営業利益が10億円/月になることだ

Aは抽象的表現まみれだが、感情的昂揚と本質を感じるだろう。抽象的表現によって、受けての解釈の幅を拡張し、様々な意味や価値を含ませることができている。対してBは、非常に限定的な表現であり、無味乾燥であるから感情の昂揚はそれほど望めない。

抽象と具体は往来して考えること

ビジョンを作成できるスキルとは、抽象と具体を自在に往来でき、かつ人間の感情的昂揚を理解していることである。これのない人間は、少なくともビジョンを作成するスキルに乏しい。

先ほどのビジョンの表現では、

日本で最も勢いのある会社になる

という表現が最も適切であると考えることもできる。

つまり、ビジョンとは、抽象的すぎても具体的すぎてもダメで、メンバーの最大公約数にとって、ワクワク感を長期にわたって保持できる表現であればよい。

我々はどんな会社にしたいのか、事例をいってみてごらん?(具体化)

いろんな人種がいる会社、億単位の人数にサービスが使われている、今までにない会社

さて、これらに共通する要素はなんだろうか>(抽象化)

グローバル化

そしてまた、グローバル化から想像される事例はなに?(具体化)

といった具合に往来すると思考がどんどん深まって漏れがなくなってくることがおわかりだろう。

ビジョンとしては、

ユニークな集団で、世界に羽ばたく。

などという表現になるかもしれぬ。


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