自己肯定感が必要な理由

執筆者 | 12月 15, 2020 | モチベーション, 人材育成 | コメント0件


もっとも重要な能力はなんですか?と問われたら、なんと答えるだろうか。それは、「自己肯定感 ( Self-affirmation )を抱くこと」である。
たとえば、あなたは新しい人材を会社に採用する時に、何を重要視しているだろうか。

  • この分野で多くの経験をしてきているだろうか。
  • リーダーシップがあるだろうか。課題解決できそうか。
  • 仕事が早いだろうか。やり切る力があるだろうか。

一般的には、これらのことを面接で確認するはずだ。でももっと重要なことがある。これらのベースに寝そべる重要すぎる能力・スキル、それが自己肯定感である。自己肯定感が低ければ、いかなる能力も発揮し得ないからである。

自己肯定感とはなにか

自己肯定感( Self-affirmation )という言葉は、臨床心理学者の高垣忠一郎によって1994年に提唱されたといわれる日本語だ。Self-affirmationという用語が一般化されたのもそれほど古くはないが、Claude Steeleという社会心理学者が1988年に発表した”The psychology of self-affirmation”にある概念だ。
日本人はこれが低いだのなんだの言われたり、「謙遜」という文化的感情によってそれが低いような結果を招いているんじゃないかとか、様々な見解があるがここではその詳細に触れないことにする。

では、自己肯定感を正しく説明できるだろうか。間違いのない定義はこうだ。

自己肯定感とは、自分の存在を「自分である」と認める感覚である。

自己肯定感の定義 – Kohei Kikuchi

要するに、「自分はダメ人間であり、それは自分そのものであーる!」このように堂々ときっぱり認める感情だ。資質であれ、過去にやったことであれ、自分を自分として清々しくそのまま受け入れるということ。

自己肯定感は放っておくと下がりつづける

アメリカで行われた心理学の研究によると、私たちは1日に6万回の思考を行い、3万回の決定をしているそうだ。約95%は昨日と同じことを考えていて、昨日とほぼ同じ選択をする。そして、悲しいかな全体の思考の約80%(約4万5,000回)は、ネガティブな思考だそうだ。

これはいいとか、悪いとかではなく、身を守るためにネガティブになっていると解釈される。「やめておこう」、「できない」ということは時に身を守る。これがなかったら、僕は毎日ガスコンロで大火傷してるだろうし、度々マンションのベランダから飛び降りていることだろう。(そうなっていないのはネガティブ思考のおかげだ)

しかし、一方で、放っておくと人はネガティブになりつづけるということも言える。とくにチャレンジをしなければならない場面だと致命的ともいえる。

自己肯定感が下がるとどうなるのか

ネガティブ思考ばかりで自己肯定感が低下するとどうなるか。決定的なのは、行動しなくなることだ。人がゴールに近づくには、行動するしかないことはご存知だろう。アクションを起こすしかない。どんなビジネス書であろうが、最終結論はただ一つ。今すぐ行動しろ。これしかいわないじゃないか。

自己肯定感が低下すると、行動がでなくなる。「行動できる自分は、自分ではない」こう考えるのだから、不安と恐怖で行動できるわけがない。

たとえば、社内の会議に参加したとしよう。あなたは社長にジロっと見られた時に、「私が一度も発言してないから、怒っているのではないか?どうせ発言もできないからどーしよー」と思い、さらに萎縮して、会議が終わるまで下を向きながらやり過ごすことになるのは、自己肯定感が低いから。
一方で自己肯定感が高ければ、「それが現在の私である。確かに一度も発言していない。しかし、私は発言したくなったらするのだ。そう決めているのだ。私は発言できる人間だ」という感情を抱くことができる。そうすると、発言機会があったならば焦らず発言することが可能だろう。

つまり、人は思考して、萎縮するか行動するか選択できる。現状の殻を抜け出して、目的地へ近く手段とは行動のみである。自己肯定感が高いことが、行動へのベースとなることはお分かりいただけるだろう。

自尊感情と自信

自己肯定感と似た言葉に、自尊感情( Self-esteem )と自信( Self-confidence )がある。「私はこれらの言語を説明できる能力・知識がある」(あ!これが自己肯定感である)ので「自信はない」が少し説明しておきたい。

自尊感情に使われている「尊ぶ」という漢字。尊ぶっていうのは、「敬って大切にする」ってこと。英語のEsteemは、誰かをリスペクト( Respect )する感情そのもの。つまり、自分や自分のしていること(資質や知識、スキル)を称賛する感情だ。

自尊感情とは、特殊な対象である自分(the self)を絶対的に評価して、その存在価値を肯定的、または否定的に捉える感情

自尊感情の定義 – by Kohei Kikuchi

自己肯定感や自尊感情については、日本人は劣等生だとの研究が目に付く。
Schmitt&Allik(2005)は,世界53ケ国を対象とした研究において日本人の自尊感情が最も低いことを指摘している。わが国の内閣府(2014)によって実施された日本を含めた7カ国(日本・韓国・アメリカ・英国・ドイツ・フランス・スウェーデン)の満13ー29の若者を対象とした意識調査では,日本人青年の自己肯定感の低さが問題視されている。

自信というのは、次で説明できる。

自信とは、自尊感情の肯定的部分のうち、ある行為が想定通りに進むであろうと推測できる経験などによって培われた感情

自信の定義 – Kohei Kikuchi

このように使い分ければよい。これは世界最高の使い分け例だからね!きっとあなたは満足する(自尊感情)

<自己肯定感>
「私はブサイクだ。でもそれが私である」

<自尊感情>
「私のブサイクさには、存在を認められる価値がある」
「私のブサイクさには、存在を認められる価値がない」

<自信>
「私のブサイクさには、存在を認められる価値があるからこそ、私はブサイクでも、激しくモテる」

行動を続けるためには、自己肯定感を鍛え続ける

先ほど、人間は放っておくとネガティブになるといった。自宅で一人ぼっちでいるとどんどんネガティブになることは皆さんも経験があるだろう。成功確率の低い行動である「チャレンジ」からどんどん遠ざかっていくということだ。

「過去の失敗への執拗なこだわり」、「拭い去ることのできないトラウマ」、「他者との比較」など、これらによって、「できない自分」を維持し続け「行動」から遠ざかり続けてはいないだろうか。

私たちは、他者からの自己肯定感があがるようなフィードバックがとても重要であることを経験的に知っている。それはなんらかの行為が「褒められる」ということではない。それ以前に、自分自身を認めることが揺らいでしまうことが、頻繁にあることを忘れてはならない。繰り返すが、ヒトの思考の8割はネガティブなのだから。

実は、ヒトの「能力」はあまり変わらない。急に頭の回転がはやくなったり、足が早くなったりする人は稀どころか存在しない。だからこそ、「あなたの能力」は肯定されるしかないのだ。あなたのパフォーマンスは否定されたとしても、あなたの能力を否定し続けてもこれっぽっちも未来を作るコミュニケーションにはならない。

よって、あなたやあなたの周囲の人は、集団が目的へ向かうより大きなエネルギーを得るために、「だれかの能力」を肯定してあげるしかないのだ。やがて行動がより多く発生するので、そのような思考のメンバーをもつチームは、どんどん伸びると思うのである。