JAXAに学ぶチームワーク

チームワークに必要な能力

JAXA(宇宙航空研究開発機構)があるイベントで出したお題だ。

===
あなたは宇宙飛行士のリーダーだ。
地球に帰るまでにギリギリの燃料しか残っていない。
このままミッションを続行すべきかどうか。
===

Q. あなたは、次のどの行動をとるか?

(1)与えられたミッションをやり遂げねば!それが宇宙飛行士だ。
(2)途中で燃料が切れたら大変。ミッションを中止して地球へ帰ろう!
(3)どうしたら良いのかわからない。みんなの意見をきかせてくれ!

どう考えるだろうか?

宇宙飛行士というのは、あらゆる活動に膨大なコストがかかるため、ミッションを必ず成功させねばならないというプレッシャーと戦っている存在であるというイメージが我々にある。そのミッションは、個人の力だけでは成立しない。だからチームワークにこだわっている。それゆえ、JAXAでのチームワークへの取り組みを研究対象とする組織が多いように思う。

先ほどの正解は、(2)だ。

生命が第一、つまり「生還する」という成果が最も重要であるという優先度をリーダーは見失ってはいけないということだ。

逆に、(1)はミッションをやり遂げることを第一にしているので、生命第一に反するものだ。(3)は、どうしたら良いのかわからないというのがリーダーの発するメッセージとして望ましくはない。リーダーとは、誰よりもゴール達成に熱く、また先を見ていなければならない。せめて選択肢を用意するぐらいの方向性を示すのがリーダーといえる。

JAXA有人宇宙技術開発グループの山口孝夫さんは、チームワークに必要な能力は9つあるという。

1. 状況認識
2. コミュニケーション
3. コラボレーション
4. 自己管理
5. 異文化適応
6. リーダーシップ
7. 不協和対応
8. 意思決定
9. 問題解決

特に、「状況認識」においては、次の3段階で考えればよいという。
正確に現状を把握 > 今後の動きを予測 > 行動計画を立てる
この3段階の認識能力を日々訓練していくと、かなりスピーディーに認識ができるようになるようである。
仕事も同じであるが、現状だけではなく、将来を瞬時に見越すような人はより信頼できる。

「コミュニケーション」はどうか。
ただ自分の思うことをわかりやすく発信するというのは、まだまだレベルが低い。相手がなぜそういったのか、どういう感情か、自分の発言によってどう思うかなど相手を考えて的確に意見することがとても重要であるという。

もう一つ、「コラボレーション」に触れるが、どんな人と一緒にゴールを目指したいか?JAXAの宇宙飛行士は、チームを組んであらゆる過酷な訓練をするらしいのだが、最後にこう質問するようだ。

「一緒に飛びたくない人はだれ?」

結果を逆に解釈すると、次のような人が一緒に飛びたい人になるという。

「いかなる状況でも冷静に状況認識をして、自分を助けてくれるだろうと信じられる人」

やはり、チームワークに必要な能力がここに散りばめられていよう。

コミュニケーションで最強に大事なこと

もう一つ、質問だ。

Q. 10人のチームを5つ作って、その中の3人にこっそりと指示をいい渡す。指示はチームごとに別々だ。次のどの指示をもらったチームがミッションを成功させたか?


(A) みんなの意見に賛成せよ
(B) 何事にも反対せよ
(C) 自由に意見を言い合え
(D) 相互理解の促進に努力せよ
(E) 聞き上手/褒め上手となれ

どうだろう?

あえて先に、一番成果が出ないのはどのチームかを考えよう。

いわずもがな、(B)。今回の場合は3割(3人)が常に反対するというチームだったが、うまくコトが進まない。反対すると、結論の整理に時間を要し、結局前進するのが遅くなる。これでは、時間的に限られた状況の中では通用しない。

本題に戻ろう。先ほどの質問。

正解は 「(D) 相互理解の促進に努力せよ」 だ。

相互理解の促進に努めた3人は、全員が理解できているか具体的な質問をしてその都度確認していったようだ。そうすると、一番速くミッションを達成し、かつ独創的なアイディアも出てきたようである。
お互いを理解するということの重大性をものがたっている。

褒めるとか、否定しないとか、いいたいことをいうことが案外重視されがちであるが、「理解する」ということが何よりも大事だということ。 わかっていないと始まらないということだ。いわれてみりゃそうだ。

つまりは、いかにして必要な情報を与えて、いかに正確にキャッチさせるか、チームワークでのコミュニケーションはそれに尽きるともいえる。

成果を出すチームの条件

先ほどはチームワークに必要な個人の能力について言及したが、今度は条件について触れたい。

宇宙飛行士のような高ストレスの環境において成果を出し続けるチームということに関して、JAXAを調査した株式会社ビジネスリサーチラボはその条件を次の8つに分類した。

高いストレス下でも機能するチームの条件

1. ゴールを重視
2. 助け合う
3. 役割・責任の設計
4. 相互理解
5. 情報・意見の共有
6. 問題解決・改善
7. 主体的なチーム帰属意識
8. 強い信頼関係

※ 各用語は筆者が調整した

以前に記事にした、Googleの結論に酷似しているではないか!

なお、JAXAの採用方針から見えてくるのは、優秀な人材を集めるのではないこと。相当に優秀な人を採用しているイメージがあるのでこれは意外だ。筆記試験においては、得点の高い人よりも、全項目で平均的に点数を取っている普通の人材を採用するということのようである。スーパーマンを選抜するという感覚ではないらしい。むしろ注目するのは、「宇宙に行ってみたいという意志の強さ」であるという。

チーム力の高い人材を採用しているのである。

また、おもしろいのは一人称として「自分が」「私が」という表現を回避するように努めていること

「私のゴール」
「私の成長」
「私のために」
「私が好き」

ではなく、

「チームのゴール」
「チームの成長」
「チームのために」
「チームが好き」

どちらがよいわるいという話を抜きにしても、印象が全く異なるでしょ?

「チームが」・「仲間が」という表現に徹する。

個人の能力には限界があるわけで、だからチームワークを重視する。

よってチームワークを重んじる集団の会話の中で、「私が」・「お前が」が連発されるのは、ただの異常かもしれぬ。

オープンの価値

オープンにせよ!というが

世間は「情報のオープン化」という言葉に、どれだけの価値を感じているのか。

クローズドを恐れる人は。
「閉じてるよりよさそうだ」

あんまりどうでもいい人は。
「公開されてもその情報に興味がない」

なにかにつけて説明を求めるような人は。
「説明義務を果たしてて、ありがたい」

ピントがずれた批判として。
「そんなことより、やることやってほしい」

どうせ聞いてないのにこう言う人も多い。
「ちゃんと説明して欲しい…」

SNSが流行りすぎて、近頃こうなる。
「情報が多すぎて見るのが大変…」

そんなイメージかなと。そして、われわれ株式会社ISAOのSpiritsの一節に登場することば。

オープンにつながる

その価値を考えたい。

情報というもの

人間は情報空間で生きている。そしてそのことを人間は薄々知っている。脳のみがすべての認識を生んでおり、もちろん喜怒哀楽を含めての感情も脳にすべて依存している。臨済宗妙心寺派の僧である快川紹喜(Kaisen Joki)が、1582年に恵林寺において焼死したときに残した辞世の句がある。

心頭滅却すれば火も亦た涼し
Source: 快川紹喜(Kaisen Joki)

これはまさに、ファイヤーという超熱い物理的な脅威が身体に迫ろうとも、脳への”脳による”至上命令を出すことができれば、それが涼しいと感じることだって可能なんだという話である。これは、人間が情報空間で生きてることを示している。生きるのが辛いと嘆く者も同じであるが、情報処理のセンスによって最強に不幸なことだって、ハッピーにできる。どう感じるかを選択しているのは脳であるから、セルフコントロール可能だと。

スマホだってそうだろう。
何ら物理的に影響がなくても、ゲームで人を殺したり、冒険したり、コラボってたのしんだりする。人と出会ったり、会話したり、動画をみてたのしんだり。スマートフォンのちっこい画面になにかしらの光る情報が出ているだけで、ありありと臨場感を抱いてしまう。「本当にそうである」、「そのことが発生したのだ」と認識する。繰り返すが、実際に物理現象を見たわけではない。人がそこにいるわけでもない。だから、情報を頼りに生きている。情報に生かされているのだ。

したがって、情報こそが人間生活のクオリティを左右する要素のすべてだということ。

オープンにする価値

情報が閉じられていると、それがなにかわからない。透視という妙な技術を持つ以外にその秘められた情報を得る手段はあるまい。わからないというほんのそれだけの話だが、これが最も深刻な事態を招きかねない。

チームに属するメンバーは、「お互いを理解している」という状態のときに初めて有効なパフォーマンスを発揮するとよくいわれる。人は「わかならい」という因子が多い場合には、動けない、または決して動かないことを意味している。

Googleは、ある研究結果を出した。「効果的なチームを作る5つの力学」についてだ。

1. Psychological Safety (心理的安全性):
不安に思ったり恥ずかしいと感じることなく、チームで動けてる?

2. Dependability (信頼性):
納期通りに高品質な作業をするために相互を頼りにできてる?

3. Structure & Clarity (組織と明確性):
チームのゴール、役割、実行計画は明確か?

4. Meaning of work (仕事の意味):
個人的に重要である何かに取り組んでいるか?

5. Impact of work (仕事が与える影響):
自分たちの仕事が重要であることを根本的に信じているか?

Five Key Dynamics (https://rework.withgoogle.com/blog/five-keys-to-a-successful-google-team/)
Five Key Dynamics (https://rework.withgoogle.com/blog/five-keys-to-a-successful-google-team/)

反対に次の要素はあまり影響がないとしている。
・どこで仕事するか
・コンセンサスに基づいた意思決定
・外向性
・個人の能力
・人数
・仕事の大きさ

この結論は、あくまでGoogle従業員への調査によるものだ。しかし、チーム力向上にとって重要なことを網羅的に示していると感じるし、正しいと思う。したがって、情報のオープンがこの力学体系のどこに影響するかを考えることが、チームにとってのオープンの価値を論考することになる

それはすぐにわかることだ。

基本段階を含む1・2・3、つまり「心理的安全性」・「信頼性」・「組織と明確性」にオープンが強く関わってくる。

組織に関係するあらゆる情報がオープンでなければ、知らないことがどんどん増加して、不安や発言への羞恥心が増加する。心理的に不安定になる。

チームメンバーがオープンにつながっていなければ、相手を知ることができない。ウソもいう。状況もわからない。つまり、信頼性は生まれない。

そして、ゴールや役割、計画がオープンになっていなければ、何を頼りに進めばよいかわからない。自己の存在意義も失ってしまう。

オープンでないと、チーム作りの基礎で思いっきりつまずくということ!

オープンでないと、協働して何かを目指すなんてことが到底不可能なのだ!

オープンにするタイミング

ところで、念のためいっておきたいことがある。

「決定してからみんなにいう」

これは大間違いだ。

「決定する前にいう」
「決定するためにいう」

これが大正解だ。

意思決定する前にオープンにする意義として、「多数の観点から、多様な意見をもらえる」という点がある。あなたの観点は極めて限定的だ。見えないものが見えていない。盲点だらけなんだ。多くの人は、たかが自分の常識や信念の中でしか、物事を判断しようとしていない。そうなると、あなただけの観点でものを見て、あなたの限定的な経験に基づいて判断したことになる。これでは、判断を間違えることがある

また、決定の過程を知っているのと、知らないのとでは理解の深さに雲泥の差がある。なぜ・どのようにそうなったのか?結論だけ聞かされても、理解できないのだ。理解できない場合、人はアクションを起こさない。

ただし、多様な意見を聞くには、情報を処理するスピードとパワーが必要である。聞く力のないリーダーは、オープンには適さない。

チームで真っ先にオープンにするもの

先ほどのGoogleの例に戻ろう。効果的なチームとして成立させるための1・2・3、つまり「居心地よく、信じ合い、なにかに向かう」ためには何をすればいいか

・自分の能力、思想や特性をさらけ出す
・期待された役割を果たすために必死になる
・ゴールとKRを明確に伝える

こえれらはチーム力向上への基礎であり、まずやることだ。

「道」を示す

先ほどの3点目「ゴールとKRを明確に伝える」に関して。

天下有道。則庶人不議。
天下に道が行なわれておれば、庶民が政治にブツブツいうこともない
Source: 論語

「道」とは、メンバーの誰もが納得しうるプロジェクトの物差しであり、到達したい地点や基準となる方法である。Goalous的にいえば、ゴールとKR(Key Result)のことを意味しているといってもよかろう。また、「道が行なわれている」というのは、それが実行されている現状のことだ。

道をオープンにして、道をオープンに行う。

ということは、

ゴールとKR、そしてその進捗をみんながわかるように示す。

どこかでブツブツいう者よ、いなくな〜れ!

以上、オープンの価値でした。

ゴール作成の改善

改善の目的

ゴール作成機能をGKAによりフィットさせ、かつスムースにシンプルに進められるように改善します。近日中にこの新しいゴール作成をみなさんにご提供します。
いくつかの特徴を以下にあげます。

1. 4つのステップで

  • ゴール作成を4つのステップにすることで、それぞれの項目をシンプルに認識して順に進められる。
Create a new Goal
Create a new Goal

2. ラベル

  • ゴールの検索性を高めるために、ラベルを登録できる。
Lavels
Lavels

3. TKR

  • TKR(Top Key Result): ゴール達成に最重要なKR
  • KR(Key Result): ゴール達成への具体的指標を含む主たる成果
  • TKRは、ゴールにつき1つのみ必須で登録する
  • TKRは、KRの中で最高の優先度をとなる
  • TKRが、ゴールを端的に捉える指標となる
  • TKRにより、ゴールへ向かう活動の集中を図りたい
Top Key Result
Top Key Result

4. ゴール達成の最上位基準と目的の廃止

  • KR作成の柔軟性を高めるために、ゴール達成の最上位基準を廃止
  • ゴール達成はすべてのKRを完了することという定義となる
  • 抽象的で主観的欲求を示す概念である「目的」を廃止
  • 「目的」は、「ゴール名」に含めて表現可能
Abolish the Purpose
Abolish the Purpose

アクションをムダにしないためにも

なにがゴールで、なにがそのKRか。この結論を間違えると、すべてのアクションがムダになる。よって、ゴールやKRを短絡的に決定するのではなく、ある程度の時間をかけ、かつ複数の眼で検討を重ねるのがよい。特にKRは、キーとなるものだけにシンプルに絞って、明確な指標として掲げる。それを集中して目指す。その時初めて、アクションがいきる。

ビジネスゴールと主な成果の例をあげる

GKAからの

GKAとはゴール到達への新モデルである。Goal – KR(Key Result) – Action の強力な概念的連携を持ってして、チームメンバーそれぞれが協働してゴールへ向かって進捗することを主目的としている。

GKA
GKA

どっちにしたって、

Goalとはなんだ!
KR(Key Result)とはなんだ!
具体的に例を示せ!

となるので、期待に応えて、いくつか例をあげてみたい。

なお、GKAの詳細はこちらの記事をよんでいただければうれしい。

ゴールとKR(主な成果)の例を考えるとき

ゴールとは、「将来的に達成したい何か」であり、KRとは、「ゴール達成のために必要な指標が具体的に示された主たる成果」である。もっとも大事なのは、ゴールはあなたがしたいこと(want to)であること。内発的な動機づけが微塵もないゴールは、オープンに掲げたところでやがて廃れてしまうのが帰結するところとなる。だって、やりたくもないのだから。

また、KRはアクションするためにある。つまり、運動によってなんらかのアウトプットをするためにある。よって、アクションをイメージできないKRはNGである。また、KRは、容易であってはいけない。不可能であってもいけない。50%ぐらいの成功確率を望めるレベルを目安として、「困難」でなければならない。困難というのは、通常それなりの背伸びをすることを意味する。KRとして、ある商材を「10社に導入する」のか、「100社に導入する」のか。さて、10倍の開きがある。

Which do you choose ?
Which do you choose ?

どう考えるか。

10社なら絶対に達成できる(100%)と想定したら、それは「容易」だ。

逆に、100社となったらいけるかもしれないしムリかもしれない。まあ50%ぐらいでしょうか。となるのであれば、迷わず100社とすればいい。これが「困難を選択する」の意味だ。

100社とした場合、ほぼ確実に10社を超える。仮に60%ぐらいしか達成できなくても60社だ。10社とした場合よりも50社も多い。さらに、10社に到達するスピードも、「容易」なKRを立てるより早いだろう。いいことばかりだ。

達成できないことで、低い評価を得られるなんてバカらしい。プロセスが肝要なはずだ。全力で進めたという実績が大切なはずだ。だから、「何をしたか」が問われなければ、そんな評価はウソっぱちだ!(詳しくはいつか述べたい)

ビジョンの例

ゴールとKRの例に入る前に、たとえば会社であれば、まず全体の方向感が必要だ。それをビジョンと呼ぶ。ビジョンとは、「存在意義(ミッション)をベースとした未来を創造するためのイマジネーション」のことであり、「ありたい姿」とも呼ばれる。チームメンバーをワクワクさせるような象徴的な表現を心がけたい。

Vision-01
お客様をとてつもなく感激させる

Vision-02
世界のどこにも存在しない新規製品を発売する

Vision-03
売上規模を20倍にする

こんな感じで、抽象的だが従業員がピンとくるような、ワクワクさせるものを掲げたいものである。ピンとこさせられるかどうかは、その会社のミッション(存在意義: なぜ我々はこうしているの?)が共有化されているかに依る。

ゴールとKRの例

それではゴールとKRの例を出していく。様々な役割を持つ部門で想定してみた。

営業
Goal: アメリカにおける収益を拡大する
KR-1: Aプロダクトを100社に導入する
KR-2: 営業担当者を30人に増員する
KR-3: パートナー企業を20社に増やす

プロダクト
Goal: Aプロダクトのモバイルアプリを世界に届ける
KR-1: iOS, Androidアプリをローンチする
KR-2: App Storeにて4.0以上のRatingを獲得する
KR-3: 新しいUX設計プロセスを導入する

マーケティング
Goal: Aプロダクトの質の高い見込み客を獲得する
KR-1: ホームページへのPVを300%増加させる
KR-2: オンライン広告からのCVRを5%にする
KR-3: マーケティングの自動化ツールを導入する

情報システム
Goal: 社内情報システムインフラの効率性向上
KR-1: 15の承認システムをすべてオンライン化する
KR-2: イシューのクローズタイムを50%減らす
KR-3: 財務関連プロセスの課題点を20の部門にヒアリング

人事
Goal: 従業員をとびきり仲良く元気にする
KR-1: 元気のよすぎる20代社員を10人採用する
KR-2: 30のマインドトレーニングを実施する
KR-3: 社員への満足度調査から新規3つの施策を提案する

カスタマー
Goal: まったく新しい顧客サポートを提供する
KR-1: 最新ソフトウェアを導入する
KR-2: 顧客へのレスポンスタイムを30%削減する
KR-3: 顧客の維持率を80%にあげる

もっといろいろなゴールやKRが考えられるが、問題は、何を指標として捉えるかということ。そして、対象の完了状態を定義できていなければならない。メンバーの価値観に従って漫然と日常業務をこなすことも可能であるが、それでは到着地点が不明であり、進捗をリアルに感じられない。“目指す処”がなければ、モチベーションも保持しにくいだろう。

上記に列挙したようなゴールに向かったKRに対して、日々のアクションがあるという概念がGKAである。アクションのサンプルについては次回以降に示そうと思う。

ゴールだって通過点だ

Bob Dylanが、ノーベル文学賞を受賞したのでそれにあやかってみる。

The thing I can do with a confidence be itself. Existence as itself is by what kind of man, too.
たとえ自分という存在が、どんな人間であろうとも。目的に到達したとは思っちゃいけない。いつもどこかに向かう過程だと思うことだ
Source: Bob Dylan

Written by Shinichiro Okuno
Written by Shinichiro Okuno

たくさんゴールがある人はイケてるか

集中という問題

経営でいえば、
「自らが選択したビジネス領域に、自社の経営資源を集中投入すれば、高い成果が得られる」
個人のスキルでいえば、
「なんでもできるというのは、なにもできないのと同じだ」
器用な者にいうならば、
「あれこれ手をつけるな。集中しろ!」

誰がいい出したか知らんが、よくいわれることだ。そして正しそうに聞こえる。

要諦は、最重要な対象へ集中的に注力することが、成果を得るための基本原則だということ。

物理的にいっても、チカラを分散させると、それぞれに割り当てられるチカラは減少する。チカラとは、対象に加速度を生じさせるものであるが、対象の質量が増えれば、その加速度は反比例して減るのだから。

オリンピックにしたって、より多くの競技で金メダルを狙うやつはいない。「100m走」と「ハンマー投げ」をやるやつなんていない。どう見ても選択して集中させている。

仕事でも経験があるだろう。ブラウザでタブを鬼のように開き、TwitterやFacebook、メール、パワーポイントやエクセルなど開きまくってさ、そしてモバイルでメッセンジャーや電話に対応する、そして一日の終わりにさ、
「なんだか成果がでなかったなあ」
という虚しい感覚。。。いい感じでいろんなことをしている自分に酔いしれていたのでしかなかったのだ。

いたってシンプルな結論である。

集中することが、成果をあげる大原則である。

マルチタスク

2012年に、マルチタスキングを研究したZhen Wangはこんな風にいっている。

They are not being more productive—they just feel more emotionally satisfied from their work.
<訳>(マルチタスクな)彼らは生産的とはいえない。仕事からより感情的な満足を得たいに過ぎない。
Source: Zhen Wang said, http://researchnews.osu.edu/archive/multitask.htm

たくさんのことに手をつけると生産性はあがらない。しかし、いい仕事をしているという満足は得られるのでとてつもない勘違いを生む、というわけだ。

実は、ヒトの脳はマルチタスクをするようにはできていないということがわかっている。マルチタスクをする時には、脳が複数に分断されて活性化する部位を切り替えている。だから、「同時に脳を働かす」ということができているわけではない。高速に切り替えているだけである。

そうなれば、「切り替え」「選択」「記憶」それらの能力が向上するかのように思える。しかしStanford大学の研究者Clifford Nassの研究によって、それらがすべて嘘っぱちであることが示された。(むしろ低下したという研究結果!)

つまり、生産的でない上に、脳の処理能力も低下する。

手をつけまくるのは、最悪中の最悪なのである!

選択肢過多効果

ところで、次の現象も確認したい。

デパートでジャムを販売した時、どちらの売上が多かったでしょうか?

1.6種類のジャムを販売したブース
2.24種類のジャムを販売したブース

週刊現代'16.2.6号「脳」はいつでも間違えるより
Source: 週刊現代’16.2.6号「脳」はいつでも間違えるより

正解は、
1.6種類のジャムを販売したブース
である。

多くのジャムを並べると、客は足を止める。それは目立つからにすぎない。ただし、購入となると話は別次元になる。選択肢が多いと、そもそも選ぶことを止めるのだ。実際は、商品を買った客の割合は”1″では”30%”だったのに対し、”2″ではわずか”3%”だったそうな。商品を増やせば増やすほどに、客を迷わせて、結果として選択するという行為をしなくなる。

これは、選択肢を多くすることは、一時の満足ではあるが、成果につながらないという深刻な勘違いを示しているのではないだろうか?!

マルチゴール

マルチゴール、つまりたくさんのゴールを抱えた人はイケているのか?次の問いを突きつけてみてほしい。

「6ヶ月で達成したいゴールはいくつありますか?」

たくさん挙げる人。絞って挙げる人。

Multi goal or 3goals
Multi goal or 3 goals

今までの話でお分かりと思うが、
「自らが選択したゴールに、自分の能力を集中投入すれば、高い成果が得られる」
ということ。左の人はゴール設定しすぎてチカラを集中できずに成果を得られる確率が低いとみられるのである。

GKAでの解釈

GKA
GKA

GKA(Goal – Key Result – Action)モデルでいうと、ゴールの下にアクションを起こすことが見込める具体的基準としてのKRが存在するが、これの数もたくさん持つべきではない。資源や能力は集中させるのが原則だからだ。

たかだか、3ヶ月や6ヶ月、あるいは1年で、同時に処理できるゴールや重要な成果の数は限られている。確実で重要な意味のある成果を出すには、絞って集中しよう!

OKRモデルを採用するアメリカではベストプラクティスとして、ある時点において「3つのゴールに3つのKR」が望ましいとされている。

the # of Goals & KRs
the # of Goals & KRs

本当に成し遂げたいゴールか

万能の巨人と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉。

人間はやり通す力が
あるかないかによってのみ、
称賛または非難に値する。
Source: Leonardo da Vinci

仮に十分絞り込んで選択したゴールであっても、本当に成し遂げたいというゴールでなければ、やり通すことはできない。あるいは、選択を間違えることだってあるだろう。その場合は、再選択すればよい。修正や方向転換を恐れてはならない。

ともかく、
スマホのアプリもブラウザのタブも、彼氏・彼女も、旦那・妻も、
社長も夢も、ゴールも、ジャムも、

たくさんもたない

成果を出す原則。