しっかりとした人事評価制度は、社員のモチベーションアップにもつながる。会社が立ち上がって、そろそろ人事評価制度の整備に手を付けたいと考える管理職も多いのではないだろうか。この記事では、社員にとってプラスになる人事評価制度の作り方を紹介する。
人事評価制度を導入すべき理由
そもそも、なぜ人事評価制度は取り入れるべきなのだろうか。3つの理由を紹介する。
生産性が上がる
人事評価制度があるということは、成果に見合った昇給や昇格が期待できるということだ。成果が社内の評価につながるため、社員のモチベーションが高まり、結果として生産性の向上が期待できる。
社内でのコミュニケーションが活発になる
適切に人事評価を行うためには、評価される社員と、評価する側の上司が日ごろからコミュニケーションを取り合わなければなければならない。結果として、社内コミュニケーションが活発になり、意見のやり取りがしやすくなる。
エンゲージメントの向上につながる
エンゲージメントとは、社員の愛社精神や貢献意欲のことだ。人事評価によって、上司が適切にフィードバックを行うようになれば、成果が認められていると社員は実感を持てるようになる。
上司からの評価は、上下間の信頼の構築につながるだけでなく、もっと成果を出したいという従業員のモチベーションやエンゲージメントの向上にもつながるだろう。
人事評価制度の手法
人事評価制度を取り入れるべき理由を把握したところで、人事評価制度の方法には何があるのか見ていこう。
MBO
MBOは、目標管理制度のことをいう。もともとは、組織マネジメントの手法として提唱された方法だ。目標という明瞭な基準があることから、人事評価と結びつけて使われるようになった。
MBOでは、チームで目標を立て、目標に対しての達成度合いを見て評価する。客観的な評価をしやすいのがポイントだ。なお、MBOで社員やチームにあった目標を設定すれば、人材育成にもつなげることができる。
360度評価
360度評価は、評価対象者とかかわりのある、複数の立場の人間が評価を行う人事評価をいう。通常、人事評価といえば上司が行うが、360度評価では上司だけでなく、評価対象者の同僚や部下なども評価に加わるのが特徴だ。
上司視点の評価だけでなく、複数の視点から評価するため、公平性の高い評価を期待できる。
コンピテンシー評価
コンピテンシー評価とは、従業員の行動特性に設定基準を置いた評価のことだ。評価の高い従業員の行動をもとに評価を行うため、従業員も評価内容に納得しやすい。成果など目に見える部分だけの評価に偏らないのが特徴だ。
自社にピッタリの人事評価制度の作り方
透明性の高い人事評価制度はどのようにして作っていくべきか、ここでは作り方の手順をみていこう。
①人事評価制度の目的を決める
人事評価制度を整備する前に明確にしておきたいのが、人事評価制度を整備する目的だ。社員のモチベーションを向上させるためという理由も候補として挙げられるが、これではなぜモチベーションを上げる必要があるのか具体性に欠ける。
社員のモチベーションを上げるにしろ、それによりもたらされる効果も考えて目的を明確にすべきだろう。たとえば、最終的に社員間に不公平感がないように社員の待遇を決める、社員がスキルアップできるように人材育成を目的に人事評価制度を整備するなどが挙げられる。
目的も違えば整備する内容も変わってくるので、最終的に会社として何が実現すれば良いのかイメージしてから具体的な評価を考えていくことが大切だ。
②評価基準を作る
次に、評価の基準となる部分を洗い出していく。何を基準に評価するのか、評価基準の基本となるのが、成果目標による評価、行動目標による評価だ。
成果目標による評価は、契約数など売上に直結するような仕事上の成果。行動目標による評価は、結果ではなくプロセスを重視した評価を指す。それぞれ、複数の項目を考え設定していくのが基本だ。人材育成を重視したいなら能力評価、協調性や積極性を評価したいなら仕事の姿勢をみる情意評価もある。
評価項目を決めたら、等級、役職、部署、職種などに分けて評価項目のウエイトを決めていく必要もあるだろう。いずれも評価を統一してしまうことで、不公平感が出るのを防ぐためだ。
③どのように評価するか考える
設定した評価項目に対して、どのようにして評価するのか。評価期間や反映期間も含め決定していく。具体的には、A、B、Cなどのランクを設けて評価するのか、1~5などの段階を設けて評価するのか、あるいは100%に対して何%達成できたかを評価するのかということだ。
ここで注意したいのが、ランクや段階、あるいは達成率をどう評価するのかということ。「よくできた」「ふつう」「まったくできなかった」などに分けて評価するケースがみられるが、これでは具体性に乏しく、結局は評価者の判断に大きく委ねられてしまう。
評価を作るときは、〇〇まで達成できたから5など、各ランクや段階ごとに、具体的に評価の目安となることを決め、明確にすることが大切だ。
④導入スケジュールを決める
新しい人事評価制度が固まっても、すぐに導入することはできない。経営者に了解を得ることではじめて実現ができる。労働組合のある会社なら、労働組合の承諾も必要になるだろう。
また、実際に評価を担当する側の準備や心構えも必要だ。本格的な導入前にシミュレーションを行うのが望ましい。あまりにも評価が乖離したものにならないためにも、シミュレーション結果を考慮しながら導入を進めるのが良いだろう。導入後は、定期的なフィードバック、評価結果な分析と必要に応じての見直しも図りたい。
人事評価制度を作るときのポイント
ここまで人事評価制度の作り方を説明したが、内容があまりにも管理者側よりだと、整備したところで大きな効果は期待できない。まだまだ不透明だと社員からは不満の声も上がるだろう。人事評価制度を作る際のポイントをここで押さえておこう。
経営者や現場の声を集める
何よりも実のある人事評価制度を作るには、人事評価の担当者が、社員と経営者双方の意見をしっかりヒアリングすることだ。社員の声を聞けば何を評価してもらいたいのか明確になる。経営者の意見を聞けば、社員に何を期待しているのか、重視しているかが良くわかるだろう。
だからといって双方の意見をそのまま採用するのは良くない。担当者がするべきは、経営者の期待をいかに社員の期待する評価と結びつけるか、いかに人材を活性化できるような評価を作成できかである。特に社員が納得できるかに重点を置いて、人事評価制度の整備は進めていきたい。
明確でわかりやすい基準を作る
社員に共有しても納得してもらえるようなものでなければ、透明性の高い人事評価制度は作れない。評価項目、基準、評価のウエイト、評価の方法、時期、いずれも明確に設定する必要があるということだ。
曖昧な表現、社員が目標を設定できないような評価、客観的に見られない可能性がある評価はできる限り避けたい。評価基準が明確であれば、企業自体の信頼度も上がるので、試験的な導入やフィードバックなども取り入れながら、より現実的で説得度の高いものを社員の目線でも分かるように作成していくべきだ。
社内評価制度に役立つツールには、社内SNSのGoalous(ゴーラス)がある。目標とプロセスが視覚化できるツールで、目標までのプロセスをフォトアクションでシェアできるのが特徴だ。プロセスを容易に振り返ることができるので、社員の行動目標の評価、丁寧なフィードバックにも活かすことができるだろう。
ゴールを設定する機能があるため、目標への達成度評価にも活用でき、根拠のある評価が可能になるのも魅力だ。客観的な評価のサポートとしてGoalousを利用されてはいかがだろう。
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まとめ
透明性のある評価制度は、客観性や現実性があってこそ実現できる。明確に測定できるような評価を目指すことが重要だ。明確な評価のサポートとして、Goalousの目標管理は、客観的な人事評価に活かせるのではないだろうか。