たくさんゴールがある人はイケてるか

集中という問題

経営でいえば、
「自らが選択したビジネス領域に、自社の経営資源を集中投入すれば、高い成果が得られる」
個人のスキルでいえば、
「なんでもできるというのは、なにもできないのと同じだ」
器用な者にいうならば、
「あれこれ手をつけるな。集中しろ!」

誰がいい出したか知らんが、よくいわれることだ。そして正しそうに聞こえる。

要諦は、最重要な対象へ集中的に注力することが、成果を得るための基本原則だということ。

物理的にいっても、チカラを分散させると、それぞれに割り当てられるチカラは減少する。チカラとは、対象に加速度を生じさせるものであるが、対象の質量が増えれば、その加速度は反比例して減るのだから。

オリンピックにしたって、より多くの競技で金メダルを狙うやつはいない。「100m走」と「ハンマー投げ」をやるやつなんていない。どう見ても選択して集中させている。

仕事でも経験があるだろう。ブラウザでタブを鬼のように開き、TwitterやFacebook、メール、パワーポイントやエクセルなど開きまくってさ、そしてモバイルでメッセンジャーや電話に対応する、そして一日の終わりにさ、
「なんだか成果がでなかったなあ」
という虚しい感覚。。。いい感じでいろんなことをしている自分に酔いしれていたのでしかなかったのだ。

いたってシンプルな結論である。

集中することが、成果をあげる大原則である。

マルチタスク

2012年に、マルチタスキングを研究したZhen Wangはこんな風にいっている。

They are not being more productive—they just feel more emotionally satisfied from their work.
<訳>(マルチタスクな)彼らは生産的とはいえない。仕事からより感情的な満足を得たいに過ぎない。
Source: Zhen Wang said, http://researchnews.osu.edu/archive/multitask.htm

たくさんのことに手をつけると生産性はあがらない。しかし、いい仕事をしているという満足は得られるのでとてつもない勘違いを生む、というわけだ。

実は、ヒトの脳はマルチタスクをするようにはできていないということがわかっている。マルチタスクをする時には、脳が複数に分断されて活性化する部位を切り替えている。だから、「同時に脳を働かす」ということができているわけではない。高速に切り替えているだけである。

そうなれば、「切り替え」「選択」「記憶」それらの能力が向上するかのように思える。しかしStanford大学の研究者Clifford Nassの研究によって、それらがすべて嘘っぱちであることが示された。(むしろ低下したという研究結果!)

つまり、生産的でない上に、脳の処理能力も低下する。

手をつけまくるのは、最悪中の最悪なのである!

選択肢過多効果

ところで、次の現象も確認したい。

デパートでジャムを販売した時、どちらの売上が多かったでしょうか?

1.6種類のジャムを販売したブース
2.24種類のジャムを販売したブース

週刊現代'16.2.6号「脳」はいつでも間違えるより
Source: 週刊現代’16.2.6号「脳」はいつでも間違えるより

正解は、
1.6種類のジャムを販売したブース
である。

多くのジャムを並べると、客は足を止める。それは目立つからにすぎない。ただし、購入となると話は別次元になる。選択肢が多いと、そもそも選ぶことを止めるのだ。実際は、商品を買った客の割合は”1″では”30%”だったのに対し、”2″ではわずか”3%”だったそうな。商品を増やせば増やすほどに、客を迷わせて、結果として選択するという行為をしなくなる。

これは、選択肢を多くすることは、一時の満足ではあるが、成果につながらないという深刻な勘違いを示しているのではないだろうか?!

マルチゴール

マルチゴール、つまりたくさんのゴールを抱えた人はイケているのか?次の問いを突きつけてみてほしい。

「6ヶ月で達成したいゴールはいくつありますか?」

たくさん挙げる人。絞って挙げる人。

Multi goal or 3goals
Multi goal or 3 goals

今までの話でお分かりと思うが、
「自らが選択したゴールに、自分の能力を集中投入すれば、高い成果が得られる」
ということ。左の人はゴール設定しすぎてチカラを集中できずに成果を得られる確率が低いとみられるのである。

GKAでの解釈

GKA
GKA

GKA(Goal – Key Result – Action)モデルでいうと、ゴールの下にアクションを起こすことが見込める具体的基準としてのKRが存在するが、これの数もたくさん持つべきではない。資源や能力は集中させるのが原則だからだ。

たかだか、3ヶ月や6ヶ月、あるいは1年で、同時に処理できるゴールや重要な成果の数は限られている。確実で重要な意味のある成果を出すには、絞って集中しよう!

OKRモデルを採用するアメリカではベストプラクティスとして、ある時点において「3つのゴールに3つのKR」が望ましいとされている。

the # of Goals & KRs
the # of Goals & KRs

本当に成し遂げたいゴールか

万能の巨人と呼ばれたレオナルド・ダ・ヴィンチの言葉。

人間はやり通す力が
あるかないかによってのみ、
称賛または非難に値する。
Source: Leonardo da Vinci

仮に十分絞り込んで選択したゴールであっても、本当に成し遂げたいというゴールでなければ、やり通すことはできない。あるいは、選択を間違えることだってあるだろう。その場合は、再選択すればよい。修正や方向転換を恐れてはならない。

ともかく、
スマホのアプリもブラウザのタブも、彼氏・彼女も、旦那・妻も、
社長も夢も、ゴールも、ジャムも、

たくさんもたない

成果を出す原則。

投稿者: Kohei Kikuchi

Kohei Kikuchi is the Goalous project leader.

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