OKRは、企業の目標達成の手法として、アメリカの大企業を中心に導入が進んだ。大企業での事例が相次いだことから、中小企業で導入できるものなのか疑問に思っている管理職もいることだろう。この記事では、中小企業でのOKR導入について考えていく。
中小企業がOKRを導入するメリット
OKRを大企業の目標達成手法と捉える管理職もいるかもしれないが、結論からいうと中小企業でも取り入れることは十分に可能である。むしろ、変化の波が激しい中小企業だからこそ、OKRの手法は役立つかもしれない。ここでは、中小企業でOKRを導入するメリットを紹介する。
戦略が立てやすくなる
OKRは、社員個人、チーム、部署、企業全体のように、段階的に関連する目標を設定し、それぞれの目標に対応するKR(主な結果)を3~5つほど設定する方法だ。設定する目標は、最終地点である企業全体の目標に紐づいている。
この目標設定は、特に推奨されるスパンが決められていない。半年や四半期ごとに設定することも可能であるし、企業の成長スピードを考慮してもっと短いスパンで設定して評価することもできる。短いスパンなら細かく目標が設定できるため、変化の多い中小企業の目標設定にも十分活かせるものだ。
また、コンスタントに目標を達成できるようになれば、企業の成長スピードの加速化にもつながる。組織の目標と社員個人の目標が紐づいているため、会社に貢献できているという意識から、社員のモチベーションやパフォーマンスを上げられるからだ。中小企業での現実的な戦略もOKRによって立てやすくなるだろう。
組織に一体感が生まれる
OKRは、社員個人の目標と組織の目標との間にずれが生じてはならないため、個人が目標を設定する段階でも上位のチームや部署の目標、組織全体の目標を意識することになる。
企業が思ったようにパフォーマンスを上げられない理由として、組織の方向性が社員にまで伝わらない問題があるが、OKRならこの問題をクリアできるだろう。目標設定の段階、振り返りの段階で自然と組織の方向性が示されるためだ。
また、前述したように、組織と個人の目標は連動している。そのために、社員個人が目標達成のために努力して成果を上げれば、結果的に会社の目標達成にも貢献できるのが視覚的に分かるため、組織として一体感を構築するのに効果的だ。会社への貢献意識から、社員の会社への思い入れである従業員エンゲージメントも向上することになる。
中小企業でOKRを運用する際の注意点
中小企業でOKRを導入するメリットをいくつか挙げたが、いずれもOKRの運用がうまくいった場合に期待できる効果だ。OKRが必ずしも中小企業にとって効果的な目標管理の手法になるかというとそうとも限らないので、OKRの導入は慎重に検討したい。ここでは、OKRでの注意点を紹介する。
OKRを導入する目的を明確にする
OKRは、個人と組織が連動することによって大きな成果を期待できる目標管理手法だ。目標設定が現実的なもので、企業の方向性として適したものであれば効果的に作用していくことだろう。
だからこそ、企業の根幹となる目標は明確に、誰もが納得できるものを設定しなければならない。しかし、明確で分かりやすい目標はすぐにでも設定できるだろうか。OKRを導入したいと漠然と考えているなら、今一度OKRの導入によって何を実現したいのか考えてほしい。
OKRを導入したところで実現したい目標が曖昧だと、OKRをうまく運用することはできない。社員は意味のない目標を設定することになるばかりで、管理手法としてうまく機能していないため、会社への不信感や落胆が高まってしまうことになる。
OKR以外の手法も視野に入れる
OKRは企業の活性化に活用できる手法ではあるが、すべての中小企業の目標管理に適しているとは限らない。OKRであるからこそのデメリットもあるためだ。
ひとつは、OKRのすべての目標が組織全体の目標につながっている点である。従業員エンゲージメントを高められるなどメリットもあるが、組織全体の目標が変われば下層の目標とKRすべてを変えていかなければないため、スタートアップなど変化の激しい中小企業には向かない。
変化のたびに目標を変えるとなるとそれなりに時間もかかるためだ。業務が忙しくあまり余裕のない企業にとっては、OKRのような手法はかえって煩わしく感じてしまうだろう。OKRのほかにも、MBOやKPIという手法があるので、別の手法を検討した方が良い。
OKRのメリットを取りつつも、組織と個人の目標がうまくリンクしないといった問題を解決するには、GKAの導入がおすすめだ。GKAの基本構造はOKRと同じで、目標に対して複数のKRを設定していくが、組織と連動する目標はない。組織として上位に設定するのは、ビジョンだけだ。
これにより、OKRで問題であった目標の変化にも柔軟に対応できるようになる。組織全体で見直しを図る必要はなく、ビジョンに沿って目標を変えるだけで良いためだ。よりシンプルに目標達成が叶うだろう。
もちろん、GKAではOKRのようなゴール、KRをそれぞれ設定するため、OKRのメリットであるゴールへの道筋が見えやすい点は残っている。OKRの概念をうまく取り入れたいなら、GKAの活用を検討してみるべきだ。
GKAの概念を取り入れた社内SNSのGoalous(ゴーラス)なら、ゴールをチームで共有し、ゴールに対する行動もすべてフォトアクションで発信できる。組織の目標達成において強い味方になるのではないだろうか。
まとめ
中小企業でもOKRを導入することはできるが、すべての企業で適した方法とはいえない。OKRのメリットをどうにか取り入れたいなら、OKRの組織的な紐づけをビジョンに置き換えてシンプルにしたGKAの導入がおすすめだ。