フィードバック( Feedback )の意味をマジメに考えたことがあるだろうか。フィードバックってなんだ?
フィードバックとは行動した者に刺激を与えることだ
普段わたしたちが仕事などで日常的に用いているフィードバックとは、次の定義だろう。
「知覚」と「意思決定による行動をする能力」を備え、知覚したことに対して何らかの学習をした後に「行動」する人と、その行動を観察する人のいる状態を考える。
このとき、「行動を観察」した人が、行動した人の「学習」に影響を与えるように知覚へ刺激を与えることをフィードバックという。
フィードバックの定義 – by Kohei Kikuchi
図に表す。

単純にいうと、フィードバックは「学習に影響」させて、期待する「次の行動」を促すための活動だ。それがフィードバックの目的だということ。つまり、期待する次の行動がみられなければフィードバックに失敗したと考えていい。
フィードバックには、ポジティブとネガティブがある
ポジティブ(正)なフィードバックが働いている場合、行動は、量としては増大する。身体が破綻するまでとにかく増大する。逆にネガティブ(負)だと減少する。たとえばこうだ。
< POSITIVE >
あなたのプレゼンテーションは、おもしろかった。ぜひまた聞きたい。
< NEGATIVE >
あなたのプレゼンテーションは、つまらなかった。もう聞きたくない。
フィードバックは正直であればよいのか?どうだろうか。言葉が行動に影響するというのは以前に述べた。言葉を容易く雑に扱ってはならない。言葉を受け取った者の「次の行動」を決めてしまうからである。
つまらないプレゼンを「つまらない」といって何が悪いんだ。そうしなければ、相手の成長はない。そういう言いにくいことをズバッというのが優秀なビジネスマンであり、それが正しく効果的なフィードバックなのである。
このように信じてる人が人類のほとんどかもしれない。いや伝統的に数十年間そう考えられてきた。ということは、100%間違えている(笑)。
カンザス州でこんな実験があった。
バスケットボールチームで試合の後にプレイのビデオを見る。チーム内で、次の2パターンのフィードバックを行った。
(1)ダメ出し。なぜゴールされたか、それはここで戻らなかったからだ。などなど。
(2)ミスは無視して、チームがうまくやれたところ、完璧にできたところだけを見せる。

結果。
なんと2)の方が圧倒的に大きな改善を示した。驚くべきことではないか。多くのビジネスチームは何をしているか。ひたすら「よくなかったこと」を挙げる。次にどうするか考える。(1)の方法だ。実はそれが全体の意欲そのものを削いでいることに気づかずに。。。よかれとおもって数十年。。。
もう一つおもしろいデータがある。
【ネガティブなフィードバックを与える】のエンゲージメント(愛着心や思い入れといった感情)を「1」としたとき、それと比較して次の各行動はエンゲージメントが何倍になるか考えてみてください。
(A)無視する
(B)ポジティブなフィードバックを与える
さあさぁ、それぞれ何倍になるか数字で答えてみてください。10倍の威力があると思ったら、10倍と答えてください。ネガティブフィードバックが1ですからね。怖い結果になるかもしれませんよ。

答えを書きます。
(A)1/30 :無視する
(B)40 :ポジティブフィードバック
ん?ってことは、ポジティブフィードバックは無視に対して、
1,200倍
もエンゲージメントを高めるってことになる。無視するのは最悪の行動だったかー。そういえば、いじめの中での無視が一番苦しいってどこかのだれかがいってたなぁ。あー、フィードバックしまくらないといかん。しかも、1発のポジティブが、ネガティブ40回分のエンゲージメントを生むだなんて。。
『仁』がすべての根本だ
仁 / JIN という言葉を聞いたことがあるだろう。仁 ( Benevolence )というのは、「人を思いやる愛のキモチ」のことだ。孔子の教えの根本である。
極めて自然に、近親者を愛し、尽くし、あざむかず、あなたの私欲を抑え、素直に接すること。このマインドがフィードバックに関しても基本中の基本である。仁がなければ、人間同士のホンモノのコミュニケーションなんて成立しない。
今一度考えて欲しい。フィードバックは誰のためにあるのか。それは相手のためである。細かく観察を続け、仁をもって相手の心に触れ、ポジティブな表現を浴びせかけることで学習を促すこと。

「あなたのプレゼンテーションは世界一つまらなかった。僕はつまらないプレゼンが大好きだから、また聞かせてくれ」
改善したつもりか?そこに、仁はあるのかい?
次回は、具体例について考えてみましょうか。