フィードバックの例 ビジネス編

執筆者 | 12月 25, 2020 | コミュニケーション, モチベーション, 人材育成 | コメント0件

「フィードバック ( Feedback ) にはどんな例があるんだろう?」チームで働くみなさんは、実際の声がけのサンプル( Sample )を参考にしたいところだろう。ヒトはその思考の傾向からして、ネガティブな人が多いので、特にポジティブなフィードバックの例を知りたいことだろう。ネガティブなフィードバックをポジティブに変えた例なんてものは、さらに知りたいでしょうよ!はい、お答えします。

前に述べたが、まずは前提事項を確認したい。ポジティブなフィードバックは、ネガティブに対して40倍も相手のエンゲージメント( Engagement: 会社への愛着や思い入れ )を高めるのだから。忘れないでいただきたい。屁理屈は必要ございません。素直にこの事実を受け入れること。

また、人は1分間に3から5回ほど、セルフトーク、つまり自分との密かな会話をしている。思考の95%は昨日と同じことで構成されていて、80%ぐらいがネガティブなのだから、放っておくと[現状維持 × ネガティブ]な思考ばかりになってるわけだ。

人は生得的には恒常性を維持しようとする ( Homeostasis : ホメオスタシス )ので、ネガティブなほう(チャレンジしない)がリスクが少ない。この思考の圧倒的な安心・安全癖において、わざわざあなたが「あなたの優越感という満足のため」に、ネガティブなフィードバックを用いて相手のネガティブな思考を助長する必要性はない気がしないだろうか?少なくとも挑戦(チャレンジ)を重んじる文化をもつ集団においては。

よいですかね?

モチベーションが上がるという結果の「原因」を心得よ

(1)進捗を感じる。コーヒーショップスタンプ編

あるコーヒーショップで、スタンプカードを使った実験をした。コロンビア大学ビジネススクールの研究だ。どちらがうまくいったか考えてみて欲しい。

(A)コーヒーを10杯飲むと、1杯が無料になる。

(B)コーヒーを12杯飲むと、1杯が無料になる。
   ただし、スタンプは最初から2個押してある。

結果。

Bの方が、遥かに多く人が「無料の1杯」を手に入れた。

以前に述べたことにも類似するが、今回の実験ではゴールにどれだけ近づいているかの進捗に関するフィードバックを与えることが、モチベーションを高めるかなり強い要因となったということになる。

余談だが、ヒトはよくウンコが漏れそうになることがある。あなたにそんな経験がなくたっていい(いや、あるはずだ)。そう、少なくとも私はよくあった(いや、よくある)。
「自宅の便器」というゴールに近づけば近くほど、肛門その他のモチベーションが上がり、便意が激しく高鳴る。実際は要らぬ高鳴りだが。ゴールに近づきたいのに、近づくほど苦しいという異様な例かもしれん。

おそらく日本人以外の人(いや、僕のことを知らない日本人も)は不快に思っただろうから、先ほどのスタンプに話を戻すが、すでに2個押されている状態によって、すでに進んでいるというステキな錯覚を覚えるわけだ。これはスタンプカードをもらった際に、最初から進捗を感じてしまうことに他ならない。進捗を感じることはもっとも強いモチベーションを導く原因となる。

さあ、この事実を元にして、フィードバックの例を考えようではないか。あ!フィードバックに関しては『仁』(人を思いやる愛のキモチ)が根本的に大事なマインドなので、いいフィードバックを「JINなフィードバック」と呼ぶことに急に決めた。

事象

ある成果に対して、やっと20%ほど進捗したプロジェクトリーダーがいた。進捗のペースは遅い。あなたはマネージャーだ。

<ダメなフィードバック>

目標に到達するのはまだまだ遠いぞ!こんなスピードではだめだ。何をしたらいいか、みんなでもっと話し合って協力して進めて欲しい。

おお、なんか勇ましい感じでいいこと言ってる気がするね。ただ、進捗に関する言及が間違っている。

さぁ、JINよこい!

<JINなフィードバック>

着実に一歩前進できているではないか!よい活動ができてるってことだよ。進捗状況については、俺のマネジメントにも問題があったと思っている。さて、次はどうしようかね?

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(2)気分をアゲる。大人な医師たち編

次の大人な実験を考えてみて欲しい。

患者の症状や病歴を読み上げて、経験豊かな熟練した医師たちに診断をしてもらう。どのチームが優れていたか。

チームA

事前に、なにもしなかった

チームB

事前に、医療関係の記事を読んでもらった

チームC

事前に、キャンディをあげた

Cチームは、他の2チームに比べて、2倍の速さで、かつ正確に診断した

気分をアゲてから仕事をした方が、作業がはかどり、かつミスも減るということだ。

気分をアゲることは重要だ。特に一番』は重要らしい。もっといえば、朝起きた瞬間の気分は一日中引きずるという説もある。朝に夫婦喧嘩や親子喧嘩、そしてセルフトークによるネガティブ思考によって不愉快を感じるなんてことははもっての他だ。

チームで働くビジネスマンのあなたが朝一番でやることは、メンバーをいい気分へ誘うことである。「THE・誘いの儀式」を死ぬほど意識して欲しい。始業1時間で、メンバー全員をいい気分にしているか?という日課によってステキな成果が生まれるだろう。

いい気分にするには?
「お?その服初めてみた。似合ってるなー」
「髪の毛切ったね?いいね、似合うね」

っていう感じで容姿でアゲアゲ。
「今日も雨だな。喉が乾いたら一緒に外に飲みに行こう!そしてこの世の水不足が解消するぜ。サイコーだな」
という感じで、なんか間違っているがスーパーポジティブに。

あなた自身がアゲアゲ発言をするには、あなたが全ての事象をポジティブに解釈できる脳をもってなければいけない。批判的な態度をとるスキルに非常に長けている人は多くいるが、そういう人たちには難しい所業だ。批判することだってとても大切な精神だが、ここで本質的に重要視しているのは人間のマインドであり、チームの活力、そしてその総力である。

そんな中、容姿や自然現象の話題も限界があるかもしれない。ビジネスマンにとって、もっと効果的な話題はないだろうか。

そんな時、最近の仕事ぶりに対するフィードバックを使うことである。プチ朗報も交える。(それでも話題に尽きたなら、キャンディでもいいや!)
ともかく朝のキャンディーひとつで、「あなた」もいい気分になってハイパフォーマンスな1日を過ごせるのだから、決してバカにしないでほしい。さて、具体的に例を示す。

事象

昨日、バグを修正を完了するのに夜遅くまで開発作業をしていたプログラマーがいる。あなたはバグの詳細内容を知りたい。

<ダメなフィードバック>

あれさ、昨日は修正に結構時間がかかったね。ところで原因は結局何だったの?あなたの昨日の説明ではよくわからなかったよ。悪いけどもう一回教えてちょうだいよ。

<JINフィードバック>

おはよう!昨日はホントにお疲れ様。おかげでユーザーへの影響が最小限で済んだよ。部長も初動が早いって褒めてたぞ。俺の理解力不足でよくわからなかったが、バグの原因について得意のわかりやすい説明を聞かせてもらえるかな?

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(3)自発性。自己決定させる編

「自発性」がモチベーションに深く関わることはだれもが知っている。とても重要だ。であれば、あなたは指示・命令、そしてお願いもしてはならない。とにかく、フィードバックの成功とは相手を最良の形で動かせばいいのだから、「相手に意思決定させる」という表現を身に付けた方がいい。

事象

経営においての課題を解決するアイデアをまとめていた人がいた。その人にあなたが話を聞いたところ、画期的で今すぐ始めるべきだと確信した。

<ダメなフィードバック>

あなたのアイデアは素晴らしいので、一回まとめてみんなへの説明会を開いてください。

<JINなフィードバック>

わたしは課題に対するあなたのアイデアは画期的で優れていると思います。
あなたはこの話をどう展開したいと思っていますか?それとも、すでに今後の進める方法を考えていましたか?

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評価というフィードバックを告げたあと、相手から「引き出す」ことと、「自己決定させる」。あなたが誘導してもかまわない。そういうカタチをとることが重要。

JINフィードバックによって作られるポジティブな脳の効果

ポジティブ心理学で有名なアメリカ人作家のショーン・エイカーは次のように言っている。

現状へのポジティブさの度合いを引き上げられれば、その人の脳は「幸福優位性」を発揮し始めます。つまり、ポジティブな脳は ネガティブな脳やストレス下の脳よりもずっと良く機能するということです。
知能が上がり、創造性が高まり、活力が増大します。 実際、あらゆる仕事上の結果が 改善されることがわかりました。


If you can raise somebody’s level of positivity in the present, then their brain experiences what we now call a happiness advantage, which is your brain at positive performs significantly better than at negative, neutral or stressed.
Your intelligence rises, your creativity rises, your energy levels rise. In fact, we’ve found that every single business outcome improves.

Shawn Achor: The happy secret to better work | TED Talk

さらにこう続ける。

ポジティブな状態の脳は、ネガティブな状態の脳より31%生産性が高くなります。販売で37%成績が上がります。ネガティブやニュートラルでなく、ポジティブなときに、医者は19%早く正確に診断するようになります。
現状に対してポジティブになることさえできれば、脳はより熱心に速く知的に働き、その結果としてより成功するようになるのです。

Your brain at positive is 31% more productive than your brain at negative, neutral or stressed. You’re 37% better at sales. Doctors are 19 percent faster, more accurate at coming up with the correct diagnosis when positive instead of negative, neutral or stressed.
If we can find a way of becoming positive in the present, then our brains work even more successfully as we’re able to work harder, faster and more intelligently.

Shawn Achor: The happy secret to better work | TED Talk

言葉と態度で人の1日は激変する。無視することはサイテーだ。とにかく、フィードバックしよう。あなたのフィードバックで、人の知能も創造性も、そして活力もコントロールできるのだ。

フィードバックは便意に似ている。重大に扱うのはバカバカしい。しかし重大に扱わなければ地獄となる

芥川龍之介の名言にインスパイアされたKohei Kikuchi

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