「ぶらさがり社員」という言葉を聞いたことがあるだろうか?
本来会社組織とは、社員全員が一丸となって、部署やチームのメンバー間でパフォーマンスを上げながら、経営状態を向上させていくのが理想である。
しかし、ぶらさがり社員をそのまま放置しておくと、組織内の環境を悪化させてしまう恐れが出てくる。本記事では、ぶらさがり社員たちの特徴と、彼らが生まれてしまう会社側に潜んでいる原因について解説する。
ぶらさがり社員の特徴と原因
ぶらさがり社員とは、どのようなものなのか?以下で、具体的にみていこう。
ぶらさがり社員の特徴と定義
ぶらさがり社員は、能力はそれなりにある。しかし、上司から指示された仕事はこなすものの、求められた以上の役割をこなそうとしないのが特徴だ。
これらの特徴が挙げられ、遅刻はなく残業を厭わず、能力的に大きな問題があるわけでもないのに損得勘定のもと「受け身でいることが楽」を体現しているタイプのことである。
自ら仕事へのハードルを上げることなく、新しいことへチャレンジ精神が見られない。
そして、ぶらさがり社員の年齢層は40代が多いと言われている。
40代と言えば、長年勤めてきた会社であれば、役職者や管理職などとして仕事を任される。社内で決して低くない位置にあるだろう。言い換えれば、手を抜くことも要領よくこなすことができる年代と言える。
しかし、年齢層は年々下がってきている傾向にあり、現在では30代前後のぶらさがり社員も増えてきている。
20代のうちに、まだ慣れないからと責任のある仕事を任せないままでいると、40代どころか30代でもぶらさがり社員になりやすいと言われている。
ぶらさがり社員になるきっかけは、自分や社会への諦念が強まるため、「あと何年で役職定年で、その時は給与や待遇面が下がることになる」といった自分の状況が見えてくると、努力をすることが無駄に思えてくるときなどが挙げられる。
また、自分がこれまでの経験が評価されなかった心残りから「自分が率先して取り組みを行ったところで、組織が変わるわけではない」という心理も働く。
自分が少し頑張ったところで、社会や景気が変わるわけではなく、むしろ、収入が上がれば税金も上がる現実も冷めた目で見る状態をつくってしまう。
ぶらさがり社員を生む会社側の問題
社員がぶらさがり社員になってしまう原因は、会社側にもある。
入社した頃は仕事に対して夢や希望があった新人も、長らく同じ仕事が続いてしまう環境下にあると、仕事への慣れだけではなく環境や状況が変わらないということから「昇給にほとんど恵まれないだろう」という諦念が強まる。
また、中堅社員や役職者となっていた女性の場合は、結婚・出産を経て育児休暇を取得した場合、復帰後は以前のようなポストに就けなくなってしまうことがある。
例えば、一度現場から退いた女性が、子どもが成長した後に会社や社会に戻ろうとしたときに、その多くは重要なポジションから外されてしまうということがあり、本人が重要なポジションを望もうとも、パートや非正規雇用という形を取らざるを得ないのが現実にある。
育休後に間違った配慮をした結果、女性が仕事を任されず、不本意ながらもぶらさがり社員になってしまうこともある。
ぶらさがり社員を作らないための対策
では、ぶらさがり社員を作らないために、上司や経営者が行える対策にはどのようなものがあるのか。具体な対策をみていこう。
企業はぶらさがり社員が増えることで成長が止まる
ぶらさがり社員がいると、企業にとってどういったことが起きるのか。
ぶらさがり社員の考え方は、周りの社員に蔓延する。前述のとおり、ぶらさがり社員の年代は年々低くなり、30歳前後から増えてきているといわれている。新卒で入社した若者たちが年齢の近いぶらさがり社員を見て感化されてしまうと悪影響を受ける恐れがある。
マネジメント層、管理職世代の40代以上の社員も、ぶらさがり社員と化した30代前後の社員を相手に、仕事ばかりが増えて、自分の待遇面は変わらない状況に嫌気がさし始めると、彼らもまた、ぶら下がり社員となりやすくなる。
そして、社員個々のパフォーマンスが落ちていく結果、そんな状態にある社員たちの集まりである組織は、企業としての成長を止めてしまうこととなる。
組織や会社がすべきぶらさがり社員対策とは?
ぶらさがり社員の持つ本来の能力を引き出すために、組織や会社が行える解決策としては、ぶらさがり社員を解雇することではなく、ぶらさがり社員のやる気を引き出すことだ。
周りに悪影響を与えてしまう、やる気のなさを阻止することがベストである。やる気を出させるためには、ぶらさがり社員にミッションを与えるのがよい。ぶら下がり社員に自らが、行動を起こすことができる場所や、役目を見つけシゴトへのやりがいを持たせることが重要だ。
また、管理職がマネジメントを見直すと同時に、ぶらさがり社員でも、コミュニケーションをとりやすい社内環境づくりも必要となる。
しかし、これだけの制度を人力だけで整えるのは大変である。
ゴール達成のための、目標管理ツールとして社内SNS「Goalous(ゴーラス)」
を利用すれば、誰がどんなゴール(目標)をもって行動しているのか見えやすく、コミュニケーションをとりながらメンバーからの反応・評価も得られる。
モチベーションを保ちつつ、目標達成できる便利なツールである。
まとめ
組織の環境を整えるために会社が取るべき行動は、ぶらさがり社員を排除するのではなく、彼らが本来持つ能力を引き出すことができる環境づくりだといえる。
人材の入れ替えだけならば、簡単にできるかもしれない。
しかし、長期で勤務している社員に匹敵する、または今後そうなれるよう可能性を持つ優れた人材は、そう見つかるものではない。
ぶら下がり社員を生まないためには、組織の体質を今一度見直すことが必要である。